北海道警察の警部補が旭川女子高校生殺害事件の被告と不倫関係にあったことが明らかになり、波紋を呼んでいます。
道警は2024年9月13日、この警部補に対して訓戒処分を下しましたが、この処分の軽さに疑問の声が上がっています。
本記事では、警部補と被告との関係性、処分に至った経緯、そしてなぜこの事案が懲戒処分ではなく訓戒処分で済まされたのかについて、詳しく解説していきます。
また、警察官特有の処分基準や、一般の公務員とは異なる制約の中で働く警察官の実情についても触れながら、今回の処分の妥当性について考察します。
- 警部補は2024年1月に被告と不倫関係を持ち、その後の捜査から除外されていた経緯
- 警部補への処分が懲戒処分ではなく訓戒処分となった理由と基準
- 警察官特有の処分基準と一般公務員との違いについての詳細
- 道警の情報公開に消極的な姿勢と、被害者遺族からの批判の声
旭川女子高校生殺害事件の被告と警部補の関係
北海道旭川市の女子高校生殺害事件において、被告の内田梨瑚と事件前に不倫関係にあった旭川中央署の男性警部補が、2024年9月13日付で訓戒処分を受けたことが明らかになりました。
公文書開示請求や捜査関係者への取材により、この処分の詳細が判明しています。
不倫関係が発覚した経緯と警部補の捜査からの除外
警部補は当初、事件の捜査に加わっていましたが、捜査過程で過去に内田被告と交際していた事実が判明しました。
このため、警部補は捜査から外されることになりました。
道警によると、警部補は内田被告の取り調べなどはしておらず、捜査への影響はなかったとしています。
カラオケスナックでの出会いと複数回の逢瀬
警部補と内田被告は、2024年1月12日に旭川中央署の新年会的な集まりで出会ったと報じられています。
この集まりは、旭川市内のカラオケスナックで行われたもので、署員らが乱痴気騒ぎを繰り返していたといいます。
その後、2人は複数回の逢瀬を重ねていたとのことです。
- 出会いの日時: 2024年1月12日
- 出会いの場所: 旭川市内のカラオケスナック
- 出会いのきっかけ: 旭川中央署の新年会的な集まり
- その後の関係: 複数回の逢瀬を重ねる
取り調べに対し、内田被告は「中央署のXさんとは不倫関係にありました」と証言しているとのことです。
北海道警による「訓戒処分」の詳細と問題点
北海道警察は、この警部補に対して9月13日付で訓戒処分を下しました。
訓戒処分とは懲戒処分とは異なるもので、規律違反が軽微で懲戒処分に付する必要がない場合に適用されます。
しかし、被害者遺族などからは、この処分の軽さに疑問の声が上がっています。
懲戒処分と訓戒処分の違いとは
懲戒処分には、免職、停職、減給、戒告の4種類があるといいます。
一方、訓戒処分は、申し立てられた規律違反が軽微で懲戒処分に付する必要がないと任命権者が認めた場合や、委員会において懲戒処分の必要がないものとして訓戒処分の勧告が行われた場合に適用されます。
- 懲戒処分の種類: 免職、停職、減給、戒告の4種類
- 訓戒処分の適用条件①: 規律違反が軽微で懲戒処分に付する必要がないと任命権者が認めた場合
- 訓戒処分の適用条件②: 委員会において懲戒処分の必要がないものとして訓戒処分の勧告が行われた場合
今回の事案が、果たして懲戒処分に付する必要がないほど軽微なものだったのかどうか、疑問が残ります。
20歳未満との飲酒で他の警察官も処分
今回の一連の処分では、警部補のほかにも、20歳未満の人物と飲酒したとして、別の男性警部補と男性巡査部長が同日までに訓戒処分を受けています。
飲酒の相手が未成年であったことも問題視されていますが、この点についての詳細は明らかになっていません。
道警の対応をめぐる疑問と批判
今回の処分をめぐっては、道警の対応に疑問や批判の声が上がっています。
特に、事件の詳細について道警が積極的に情報公開しようとしていない姿勢が問題視されています。
公表事案とされなかった理由と情報開示の経緯
道警は今回の処分を公表事案に当たらないとして、詳細を明らかにしていません。
処分の事実が明らかになったのは、公文書開示請求や捜査関係者への取材によるものです。
被害者遺族などからは、道警の情報公開に消極的な姿勢に疑問の声が上がっています。
事件の全容解明のためには、警察側からの積極的な情報開示が不可欠だとの指摘もあります。
神居大橋の防犯カメラ情報に関する懸念
事件の舞台となった神居大橋には防犯カメラが設置されていなかったことが分かっています。
この点について、被告らがどのようにして把握していたのかについても、疑問が呈されています。
- 防犯カメラの不在: 神居大橋に防犯カメラが設置されていなかったこと
- 被告らの情報入手経緯: 被告らがどのようにしてカメラの不在を把握していたのか
- 捜査の盲点: 被告らによる防犯カメラ情報の入手経緯が、事件解明の重要なポイントになる可能性
- 警察の対応: 道警が積極的に情報公開しようとしていない姿勢への批判
事件の全容解明には、この点についても徹底的な追及が必要だと指摘されています。
警察官の処分基準と労働三権の関係性
今回の処分をめぐっては、警察官特有の処分基準や労働環境についても議論が起きています。
一般の公務員とは異なる制約の中で働く警察官の実情について、理解を深める必要性が指摘されています。
警察官特有の処分指針と制約
警察官には、一般の公務員とは異なる厳格な処分指針が適用されています。
特に、警察官には労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)が認められていないという特殊な立場にあります。
- 労働三権の不在: 警察官には労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)が認められていない
- 厳格な処分指針: 何をやったらどんな懲戒処分になるという厳格な指針がある
- 一般公務員との違い: 一般の公務員は労働組合に訴えることができるが、警察官にはその権利がない
この特殊な立場ゆえに、警察官の処分をめぐっては、一般の感覚とのズレが生じやすいとの指摘もあります。
厳格な処分基準の必要性と課題
警察官に対しては、その職務の特性上、厳格な処分基準が必要だとの意見があります。
一方で、現行の基準があまりにも硬直的で、実情に合わない面があるとの指摘もあります。
- 職務の特性: 警察官の職務の重要性と影響力の大きさを考慮すると、厳格な規律が必要
- 信頼の維持: 警察に対する国民の信頼を維持するためにも、厳しい処分基準が求められる
- 硬直的な運用: 現行の基準があまりにも硬直的で、実情に合わない面がある
- 警察官の労働環境: 厳格な基準の下で働く警察官の労働環境についても、考慮が必要
警察官の職務の特性を考慮しつつ、より柔軟で実情に即した処分基準のあり方が模索されています。
同時に、警察官の労働環境についても、改善の必要性が指摘されているのです。
今回の事件をめぐる一連の経緯は、警察組織のあり方について、改めて考えさせるものとなっています。
被害者の尊厳を守りつつ、真相解明に向けて全力を尽くすことが、警察に求められる最優先の課題だと言えるでしょう。
まとめ:北海道警察官の訓戒処分をめぐる問題点について
- 警部補と内田被告は2024年1月12日にカラオケスナックで出会い不倫関係に発展
- 事件捜査中に不倫関係が発覚し警部補は捜査から除外される事態に
- 道警は2024年9月13日付で警部補に訓戒処分を下す判断
- 20歳未満との飲酒で別の警察官2名も同時期に訓戒処分
- 懲戒処分には免職・停職・減給・戒告の4種類が存在
- 訓戒処分は規律違反が軽微な場合に適用される処分
- 警察官には一般公務員と異なる厳格な処分指針が適用
- 警察官には労働三権が認められていない特殊な立場
- 道警は処分を公表事案に当たらないとして詳細を非公表
- 処分の事実は公文書開示請求と取材により明らかに
- 事件現場の神居大橋には防犯カメラ未設置の事実
- 被害者遺族からは処分の軽さと情報公開の消極性に批判
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