今回は北海道産のトウモロコシで血糖値を測定していきます。
とうもろこしの品種や重量、栄養素など
新鮮なトウモロコシの品種名はスイートコーンです。

重量は2本で596gありますが、とうもろこしの芯265gを引くと可食部分は331gになります。


パッケージに記載されている栄養成分を計算すると、

331gのトウモロコシには糖質が51.3g、食物繊維が10.3g含まれています。
食物繊維は不溶性のものがほとんどで、水溶性は1gしか含まれていません。
私が驚いたのは、トウモロコシに多く含まれるタンパク質と脂質の量です。
比較的、ナスやキャベツに含まれるタンパク質の約3倍、
脂質は約10倍も多く含まれています。
糖質の量は日本で51.3gですから、一人あたりにつき約25gです。
かなり多いですが、血糖値にどのような影響があるのでしょうか。
空腹時血糖値を測定
まずは空腹時の血糖値を測定しました。

正常値は110未満ですが、今回は85でした。
とうもろこし食後30分の血糖値

次に、食後30分の血糖値を測定しました。結果は118で、空腹時の血糖値から33上昇しました。

上記グラフを見れば分かりますが、糖質の量が51.3gと多いにも関わらず、血糖値の上昇はそれほど大きくありませんでした。
とうもろこし食後1時間の血糖値

食後1時間の血糖値は118でした。
30分から変動しませんでした。
とうもろこし食後1時間30分の血糖値

食後1時間30分の血糖値は104でした。
この結果から、トウモロコシのイメージから予想されるよりも、
血糖値の変動幅が非常に小さかったことが分かります。
ピークの血糖値が118であり、
空腹時血糖値の上限値である110とほとんど変わらなかったため、
意外な結果となりました。
とうもろこし、糖質量ほど血糖値を上げない理由や原因を考察
なぜ血糖値の上昇幅が抑えられたのかというと、
とうもろこしに含まれる水溶性食物繊維、タンパク質、脂質の影響だと思われます。
これらの成分は、GIPやGLP-1といった消化管ホルモンの分泌を促します。
また、消化管ホルモンはインスリンを分泌を促し、
血糖値を抑える働きがあるためです。
北海道大学産学地域協働推進機構のとうもろこし+血糖値に関する研究

「北海道大学産学地域協働推進機構」のホームページには、「血糖値をコントロールするための新しい食素材」というタイトルで記事が掲載されていました。
この記事は、北海道大学の研究について紹介しています。
具体的には、とうもろこしのタンパク質を加水分解して得られたペプチドを、
マウスに与えた実験について述べています。
この実験では、与えられたペプチドによって、
消化管ホルモン「GLP-1」の分泌が強力に促進されたという結果が得られました。
「GLP-1」は、ベータ細胞からのインスリンの分泌を促進するとともに、
胃から腸への内容物の移動をゆっくりにする効果があります。
さらに、血糖値を上昇させる「グルカゴン」というホルモンの分泌を抑える作用もあり、
血糖値を抑制する効果が期待できます。
なお、水溶性食物繊維も、GLP-1の分泌を促進することが知られています。
水溶性食物繊維が大腸に入ると、腸内細菌の働きによって短鎖脂肪酸が生成されます。
この短鎖脂肪酸は、GLP-1の分泌を促進する効果があります。
したがって、水溶性食物繊維を積極的に摂取することが、
血糖値を抑制するために有効であることが分かります。
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